Subject   : プロテインキナーゼ (Protein kinase)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 プロテインキナーゼ (Protein kinase)
 プロテインキナーゼ (Protein kinase) は、タンパク質分子にリン酸基を付加する(リン酸化する)酵素である。

タンパク質キナーゼあるいは英語風にプロテインカイネースとも呼ぶ。キナーゼ(リン酸基転移酵素)の中でタンパク質をリン酸化するキナーゼをプロテインキナーゼと呼ぶが、このプロテインキナーゼのことを特にキナーゼと呼ぶことが多い

プロテインキナーゼは、ATPやGTPのγ位のリン酸基を基質タンパク質のセリン/スレオニンやチロシンのヒドロキシル基へ転移させる酵素です。 これらキナーゼはホスファターゼと共役して働くことで、遺伝子発現、細胞骨格形成、細胞接着、細胞周期の進行そして分化を精密にコントロールしています。

プロテインキナーゼは、細胞機能の重要な調節因子であり、最大かつ最も機能的で多様な遺伝子ファミリーの1つを構成します。このプロテインキナーゼは、基質タンパク質にリン酸化基を付加することで、活性化や局在を調節し、多くのタンパク質の全体的な機能を方向づけを行い、ほぼすべての細胞内プロセスの活性を取り仕切ります。キナーゼは、特にシグナル伝達や細胞周期のような複雑な機能の調整において、卓越した機能を発揮します。酵母から無脊椎動物、ヒトまで、キノームに、50ほどの異なるキナーゼファミリーが保存されていることからも、キナーゼが多様な細胞機能に不可欠であることが分かります。ヒトタンパク質キナーゼ518種のうち478?種は、触媒ドメインの配列が関連した単一のスーパーファミリーに属しています。これらのキナーゼは、配列類似性の高さや生化学的機能により、グループ、ファミリー、サブファミリーにクラスター化することが可能です。これらの触媒ドメイン間の配列類似性を示すのが、キナーゼ樹状図 (上) です。2つのキナーゼの間の枝分かれの距離は、この配列の間の相違の程度に比例します。7つの主要なグループがラベルされ、それぞれ色分けされています。例えば、チロシンキナーゼのメンバーは、タンパク質のチロシン残基上をリン酸化する、1つの独立したグループを形成します。一方、その他すべてのグループの酵素は主にセリンやスレオニン残基をリン酸化します。この樹状図上で示される関係は、場合によっては、ここに示されている100以上の性質不明の多くのキナーゼのタンパク質の基質や生物学的機能の予測に使用することもできます。さらに40の「非定型的 (atypical)」キナーゼは、典型的なキナーゼとの配列類似性はありませんが、酵素活性を持つことが知られている、またはそれが推測されており、一部は典型的なキナーゼと類似した折り畳み構造を持つことが推測されています。

 ■ プロティンキナーゼ活性化受容体(receptor protein kinase)
 プロティンキナーゼの活性化を介して情報を細胞内に伝達する受容体。疎水性のアミノ酸が二十数残基から成る細胞膜貫通αヘリックス部位をもち,細胞外シグナル分子を結合するN末端を外側に,一方のC末端を細胞の内側に向けて細胞膜に埋込まれている.受容体それ自身の分子内またはそれに会合している他の分子(サブユニットなど)にプロティンキナーゼの活性部位が存在し,タンパク質のチロシン残基またはセリン−トレオニン残基をリン酸化しシグナルを伝える.アゴニストによる受容体刺激のシグナルは,このキナーゼの活性化を介しておもに遺伝子発現に向かう経路に伝達されている。

 ⇒ シグナルトランザクション(signal transduction)

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧]  [HOMEへ戻る]  [用語索引]  [前のページに戻る]