Subject   : 呼吸性アシドーシス

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 呼吸性アシドーシス
 呼吸性アシドーシスは呼吸不全によって二酸化炭素が体内に蓄積したために起こるアシドーシスである。これはPaCO2の上昇する病態の存在が考えられる。これは肺胞低換気の病態に等しく、呼吸器疾患、神経筋肉疾患、循環器疾患、レスピレーターの調節不全で起こりえる。

呼吸中枢から換気の指令が十分に行われない場合、これは延髄の呼吸中枢の障害や鎮静剤の抑制効果、代謝性アルカローシスの代償によっておこる。呼吸中枢の命令に応じられない病態としては神経障害や横隔膜をはじめとする呼吸筋の障害や呼吸筋疲労が考えられる。また、肺のレベルで呼吸を行っていても、閉塞性無気肺など上気道閉塞が起こっているときも代謝性アシドーシスとなる。

肺気腫、喘息でも同様の病態が生じる。アシデミアが存在し、その原因が呼吸性アシドーシスである場合は基本的にU型呼吸不全の状態であり緊急事態の可能性がある。生命維持のためには気管挿管のうえ人工呼吸器を使用する必要がある。なお、単に高濃度の酸素のみ投与すると、低酸素刺激がなくなるため呼吸中枢が抑制されむしろ呼吸停止をきたす(CO2ナルコーシスと呼ばれる)おそれがあり危険である。そのためSpO290%を目安に酸素濃度を調節する。軽症の場合は重炭酸イオンの増大のみが見られてpHは正常範囲内にとどまることがあり、補正された呼吸性アシドーシスと呼ばれる。これは緩衝系による代償性代謝性アルカローシスが起こったためであり、慢性疾患の可能性を示唆する。

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 ⇒ アシドーシスとアルカローシス

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