Subject   : ICAM-1(細胞間接着分子1)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 ICAM-1(細胞間接着分子1)
 VCAM1(intercellular adhesion molecule 1)または細胞間接着分子1は、ヒトではICAM1遺伝子にコードされるタンパク質である。CD54(cluster of differentiation 54)としても知られる。ICAM-1は細胞表面の糖タンパク質であり、一般的には 血管内皮細胞と免疫系の細胞で発現している。CD11a/CD18、CD11b/CD18型のインテグリンに結合し、またライノウイルスが呼吸上皮に進入する際の受容体としても利用される。

ICAM-1は白血球や血管内皮細胞の細胞膜に常に低濃度で存在する細胞間接着分子である。サイトカインによる刺激によって、その濃度は大きく上昇する。ICAM-1はIL-1とTNFによって誘導され、血管内皮、マクロファージ、リンパ球で発現する。ICAM-1の高度なグリコシル化と他の構造的特徴は多数のリガンドタンパク質の結合部位となっており、ICAM-1には免疫と関係した多数のリガンドの結合部位が存在する。特に、ICAM-1はMac-1、LFA-1やフィブリノゲンなど内皮細胞や白血球で一般的に発現しているタンパク質と結合し、血管外遊出や炎症応答など白血球が血管内皮を越えて移動する過程を促進する。可溶性のLFA-1も発見されており、これはICAM-1に結合して遮断を行うようである。こうした結合特性のため、ICAM-1は古典的な細胞間接着分子として認識されており、細胞間相互作用の安定化と白血球の内皮の通過の促進に重要であることが古くから知られている。

また、ICAM-1と可溶性ICAM-1は血液精巣関門を形成するタイトジャンクションに対して拮抗的作用を示し、精子形成に重要な役割を果たす。

ICAM-1は大部分のヒトライノウイルスがさまざまな細胞種に進入する際の結合部位となっていることが発見されており、単なる接着分子以上の役割を持つことが示唆されている。ICAM-1はマラリア原虫Plasmodium falciparumが感染した赤血球に対して親和性を持つようになることが知られており、感染症におけるICAM-1の役割はより明確になりつつある

<出典:Wikipedia>

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