Subject   : アジュバント(Adjuvant)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 アジュバント(Adjuvant)
 アジュバント(Adjuvant)とは、ラテン語の「助ける」という意味をもつ 'adjuvare' という言葉を語源に持ち、ワクチンと一緒に投与して、その効果(免疫原性)を高めるために使用される物質のことです。あくまでもワクチンの効き目を高めるためのものなので、アジュバントだけを投与してもワクチン効果は得られません。 抗原の一部の成分を精製して接種するワクチンは一般的に効き目が弱いのでアジュバントの添加が必要です。

現在海外ではアルミニウム塩アジュバントの改良型であるAS04、スクアレンアジュバントの改良型であるAS03がそれぞれHPV、インフルエンザワクチンで使用されています。日本でも2013年に承認された2価のHPVワクチンにAS04が含まれており、AS03はMF59と同様にパンデミックインフルエンザに対するワクチンとして特例承認された経緯があります。

多くの新規アジュバントが報告されています。特に免疫システムを始動させる細胞の異物を認識する部位をターゲットにした新規アジュバントは第二世代のアジュバントと言われ、臨床試験に多く挙がっています。例えば、病原体のセンサーの一つである「Toll様受容体=TLR(Toll-like receptor)」に結合する病原体成分のリポタンパク質やリポ多糖、鞭毛、核酸です。現在、核酸成分のアジュバントが含まれているHBVワクチンはPhaseIII(2018年現在)、鞭毛成分のアジュバントが含まれている季節性インフルエンザはPhaseII(2018年現在)の臨床試験を行っております。そのほか、たくさんの成分が様々な疾患をターゲットに臨床試験が行われております。

細胞に似たリン脂質成分からなる微小カプセル(リポソーム)やナノ粒子などの表面上や粒子内にアジュバントを付与することで、より効率的かつ安全に免疫反応を起こすことが可能となり、次世代アジュバントとして期待されています。

<出典:CVAR>

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