Subject   : 電気化学式ガスセンサー

カテゴリー  : 産業・技術 


 電気化学式ガスセンサー
ガスセンサーが必要なガスには、可燃性ガス、 毒性ガス 、酸素、 冷媒ガス、 半導体材料ガス、 溶剤ガス などがあります。 ガスセンサーの検知方式は、固体センサ、電気化学式センサ、光学センサ、 などの種類があります。

● センサ 定電位電解式
一定の電位に保たれた電極上でガスを電気分解し、そのときに発生する電流をガス濃度として検知します。毒性ガスの検知に最も有効なガス検知センサです
毒性ガスを高感度で検知できます(例:AsH3 0〜0.2ppm)
【構造と原理】
プラスチック容器の側面に金属(金や白金)の電極と一体となった気体透過膜があり、その内部を電解液で満たした構造です。
作用電極と参照電極間にボテンショスタット回路を用いて一定の電位に保ちます。検知対象ガスは作用電極で直接電気分解されます。
【検知対象ガス】
一酸化炭素、硫化水素、二酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、オゾン、ホスゲン、AsH3、PH3、SiH4、B2H6、GeH4、HCl 、CCl4、HF他

● 隔膜分離型定電位電解式
定電位電解式の原理に属しますが、ガス透過膜(隔膜)と電極を完全に分けた構造になっています。選択性に優れた毒性ガスセンサです。 【構造と原理】
隔膜分離型センサは板状金属の電極にガス透過膜を重ね合わせた構造となっています。作用電極とガス透過膜の間は密着しているように見えますが、実際には非常に薄い電解液の層が存在しています。
HFガスを測定対象とする隔膜分離型センサの電解液には、ヨウ素イオン(l-)とヨウ素酸イオン(lO3-)を含む反応液を使用しています。この反応液はガスと反応してl2を生成します。 作用電極にはボテンショスタット回路で一定電位が与えられていて、この作用電極上で生成したl2をl-に還元します。 このとき作用電極(WE)と対極(CE)の間には電流が流れます。この電流はガス濃度に比例するので、この電流を測定することでガス濃度を求めることができます。
【検知対象ガス】
HCl、Cl2、HF、F2、l2、Br2、O3、ClF3

● 隔膜電極式
気体透過膜(隔膜)とイオン選択性電極で構成されています。pHを測定するガラス電極を使用したアンモニアセンサです。
センサ寿命は6ケ月毎の再生作業を行って使用すれば約5年です。
【構造と原理】
pH電極等のイオン選択性電極と基準電極が内部液の中に置かれています。イオン選択性電極に気体透過性のプラスチック膜(隔膜)が密着しています。
検知対象ガスが透過膜を通して内部液に溶け込みます。例えば、アンモニア用センサでは内部液にアンモニアガスが溶け込みOH-(水酸イオン)を生じます。 NH3+H2O→NH4-+OH- 内部液はアルカリ性となるのでpHが変化します。この内部液のpH変化をイオン選択性電極(ガラス電極)で検知します。ガラス電極と基準電極間にはアンモニアガス濃度の対数に比例した起電力(電圧)が発生します。
【検知対象ガス】
アンモニア、アミン系ガス

● 隔膜ガルバニ電池式
電極上で酸素が電気分解するときの電流を酸素濃度として検知します。18世紀イタリアの解剖学者ガルバニ氏が発明した電池を応用したもので、世界的に最も実績のある酸素ガス検知センサです。
長寿命(使用実績値 2〜3年)設計のセンサです。
【構造と原理】
貴金属(金や白金)と鉛の電極が電解液の中に置かれています。この貴金属電極に気体透過性のプラスチック膜(隔膜)を密着させた構造になっています。
貴金属と鉛を電解液に浸しリード線でつなぐと、電池ができます(ガルバニ電池)。隔膜を酸素が透過してくると、貴金属電極で還元反応が鉛電極で酸化反応が起こります。 この反応に伴う電流を負荷抵抗(サーミスタ)を介して電圧に変換して読み取ります。酸素濃度が低下すると、貴金属電極での酸素の還元反応が減少するのでサーミスタの両端の電圧も低下します。
【検知対象ガス】
空気中の酸素、可燃性ガス中の酸素、不活性ガス中の酸素、燃焼排ガス中の酸素、イナートガス中の酸素等
 ⇒ 半導体産業で使われるガスの許容濃度

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