Subject   : 光合成を行う真核生物

カテゴリー  : 学びの館 > 生物学 


 光合成を行う真核生物
 光合成を行う真核生物は,オピストコンタ(動物,菌類),アメーボゾアを除く全ての系統群に存在していることが分かると思います)。光合成を行うオルガネラ(細胞小器官)は色素体です。現在,色素体がただ一度の細胞内共生に起源を持つという考えは,広く受け入れられています)。その色素体が真核生物の様々な系統群で見られるのはどういう事なのでしょうか。 光合成真核生物の多様性を学ぶには,色素体がどのようにして獲得されてきたのかを理解する必要があります。皆さんの中には,高等学校の教科書で,色素体(葉緑体)やミトコンドリアは,真核生物が原核生物を細胞内共生(endosymbiosis)によってオルガネラとしたという「細胞内共生説」を習ったことがある方もおられるでしょう。細胞内共生とは,ある真核生物が他の生物を食作用によって細胞内に取り込み,これを共生体として維持,最終的にオルガネラとする現象です。ミトコンドリアと葉緑体はその最たる例です。ミトコンドリアは真核生物がα-プロテオバクテリア(現生のリケッチアに近縁と考えられている)を細胞内共生したものですし,緑色植物の葉緑体はシアノバクテリアの仲間を細胞内共生したものです。 光合成を行うオルガネラ(細胞小器官)のことを「葉緑体 chloroplast」または「色素体 plastid」といいます。「葉緑体」という名称及び機能は多くの方が知っていると思います。しかし,厳密に言うと「葉緑体」という名称は,緑色をした色素体を指し,分類群では緑色植物のみに用いられます。光合成生物は多様で,"葉緑体"の種類(色,構造,含有色素など)は様々です。緑色植物が持つ「葉緑体」以外は「色素体」と呼んでいます。緑色植物でも,貯蔵デンプンの前駆体のような光合成色素を持たない"葉緑体"を白色体(leucoplast)と呼びます。日本人にとって「葉緑体」という言葉は広く受け入れられているので,一般的に「色素体」も含めて「葉緑体」と呼ぶことが多い。

<出典:Wikipedia>

 ○ 二次光合成生物(二次植物)の仲間
 二次光合成生物(二次植物)は,大きく二つに分けられます。緑色植物を取り込み,主要な光合成色素にクロロフィルa, bを持つ真核藻類と,紅藻植物を取り込み,主要な光合成色素にクロロフィルaと新たに獲得したクロロフィルcを持つ真核藻類です。

注目されるのは,中央の図に示したヌクレオモルフです。これは真核生物が真核生物を細胞内共生した大きな証拠で,共生体の痕跡的な核と考えられています。さらに共生が進むとヌクレオモルフは消失し,色素体のみが残されると推定されます。ヌクレオモルフを持っている二次光合成生物がクロララクニオン藻類とクリプト藻類で,色素体の成立の途中段階にあると考えられる生物が現生にも生息していた事が,我々が真核生物の進化・系統を読み解く上での重要なヒントとなっています。

 ⇒ 真核生物の誕生

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