Subject  : 住血吸虫症

カテゴリー: 健康・医療情報 


 住血吸虫症
住血吸虫症は住血吸虫という扁形動物による感染症で、腸、肝臓、尿管に症状を起こします。

南アメリカ、アフリカ、アジアの亜熱帯地方で2億人以上が住血吸虫症にかかっています。人に感染するのは3種類で、尿管と膀胱(ぼうこう)に感染するビルハルツ住血吸虫、腸に感染するマンソン住血吸虫と日本住血吸虫があります。これらの寄生虫がいる淡水で泳いだり、水浴びをしたりすることで感染します。住血吸虫は水中に生息する巻き貝の体内で増殖し、水中に放出されて自由に泳ぎ回ります。人の皮膚に触れると中に入りこみ、血流を通って肺に到達し、そこで成虫になります。成虫は血流に戻り、最終的なすみかである膀胱や腸の小静脈に行き、そこで何年も過ごします。成虫は腸や膀胱の壁に大量の卵を産みますが、その一部は血流に入って肝臓に到達します。これらの卵は炎症反応を誘発し、腸、膀胱、肝臓の静脈を詰まらせる結果、潰瘍や局部の出血、瘢痕(はんこん)が生じます。卵は自らが便や尿中に入りこむための酵素をつくります。感染者が水中に放尿や排便をすると、卵も水中に放出され、再び同様のライフサイクルが始まります。
マンソン住血吸虫と日本住血吸虫の卵は通常は腸と肝臓に宿り、ビルハルツ住血吸虫の卵は膀胱に宿ります。そこで炎症反応が起こり、瘢痕が生じ、腸管から肝臓へ血液を送る静脈である門脈の圧が上がります。門脈圧が上がると、脾臓が腫大し、食道の静脈から出血が起こります。他の臓器(肺、脊髄[せきずい]、脳を侵すこともあります。

 【症状と診断】
住血吸虫が最初に皮膚から侵入したとき、かゆみを伴う発疹(セルカリア皮膚炎)が生じることがあります。体内に入ってから4〜8週間ほどたって成虫になった住血吸虫が卵を産みはじめるころになると、発熱、悪寒、節々の痛み、頭痛、せきがみられます。肝臓、脾臓、リンパ節が一時的に腫大し、また元に戻ります。けいれん性の腹痛が起きて血便や血尿が出るため、貧血になることもあります。慢性の尿路感染症になると閉塞を生じ、後に膀胱癌(ぼうこうがん)に進行する原因にもなります。

住血吸虫症は、検便や検尿で卵の有無を調べて診断します。血液検査で調べる方法もあります。尿管や肝臓の超音波検査で感染症の重症度を判断できます。

 【予防と治療】
住血吸虫がいるとわかっている湖や川で泳いだり、水浴びしたり、歩いて渡ったりしないことが最良の予防法です。

治療には、プラジカンテルを1日2〜3回内服します。
 ⇒ 感染症の種類

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