Subject  : fMRI(機能的核磁気共鳴断層画像法)

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 fMRI(機能的核磁気共鳴断層画像法)
 fMRIとは、外部からの刺激や課題を行うことによって活動した脳の様子を、画像化する方法のことです。 functional magnetic resonance imagingの略です。

 MRI(Magnetic Resonance Image)とは、核磁気共鳴現象(nuclear magnetic resonance: NMR)という物理現象を応用して、人体の断面を画像化する手法のことです。一言で言うと、MRIとは、MR信号(核磁気共鳴現象によって発生する信号)を「Image化」(画像化)する方法のことです。

 脳活動に伴って「脳血流量」や「脳酸素代謝率」が変化することで、MR信号が変化すると考えられています。「脳酸素代謝率」とは、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの、酸化型と還元型のバランスの割合だと考えてください。神経細胞が活動すれば、それだけ多くの血液が流れ、酸素を消費するので、血流量が増え、酸素を失った還元型ヘモグロビンも増えることになります。このように、脳活動を間接的に反映したものが、fMRIで画像化する「MR信号の変化」ということになります。

睡眠・眠気に関する研究例を少しだけ紹介します。この研究では、35時間眠らなかった人にある言語課題を行ってもらい、そのときの脳活動をfMRIを使って測定しました。

 この研究で非常におもしろい結果の一つは、「前頭前野」という脳領域の活動の高さと、その人の「眠気」の度合いとが正の相関を示したということです。つまり、前頭前野が高い活動を示した人ほど、眠気を感じながら言語課題を行っていたようです。  fMRIの場合、時間分解能は数秒、空間分解能は数ミリから数センチといわれています。しかし、神経細胞の大きさは1ミリ以下、そしてその一回の活動は数ミリ秒(*1ミリ秒=1000分の1秒)で起きてしまいます。したがって、fMRIでは、神経細胞レベルの活動まで測定することは、いまのところ非常に難しいようです。

 ● BOLD(Blood Oxygen Level Dependent)法
 脳活動に伴い賦活領域において血流が20〜40%増加します。 神経細胞において酸素と結合したヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)が還元され還元ヘモグロビンとなるのですが、 血流の増加に対し酸素消費量は5%しか増えないことから、 静脈中の酸化ヘモグロビンの量が相対的に増加することになります。 また、酸化ヘモグロビンは還元ヘモグロビンに比べ磁化されにくいため、 賦活領域では磁化率が減少し、磁気共鳴信号の強度が変化します。 タスク実行時と安静時の画像を比較し、 磁気共鳴信号の変化を統計的に分析することにより、 脳の活動部位を推定することが出来ます。
 ⇒ 画像診断と医用画像処理

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