Subject  : デング熱とデング出血熱

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 デング熱とデング出血熱
 ネッタイシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症である比較的軽症のデング熱と、重症型のデング出血熱とがある。 デングウイルスはウイルス学的にはフラビウイルス科、フラビウイルス属に分類されるウイルスである。デングウイルスには4つの型(1、2、3、4型)が存在する。いずれの型のデングウイルス感染によっても同様の病態を示す。都市型のデングウイルス感染ではヒトが自然宿主となっており、蚊ーヒトー蚊が感染サイクルである。念です。サルコペニアに気をつけることは、フレイル、ロコモ対策のためにも大切です。

 デングウイルスに感染した場合、かなりのパ−セントは不顕性感染となり、症状を示さない。典型的な症状を示す場合デング熱とデング出血熱と呼ばれる2つの異なる病態を示すが、単に発熱のみを症状として終わる場合もある

 ■ デング熱
 デング熱は一過性の熱性疾患であり、デングウイルス感染によって症状を示す患者の大多数を占める。多彩な症状が出現するが、他のウイルス感染症と比べ、デング熱のみに特徴的にみられるものはない。感染3-7日後、突然の発熱(39−40℃)で始まる。頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛を伴うことが多い。食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともある。発症後3−4日後より胸部、体幹からはじまる発疹が出現し、四肢、顔面へ広がる。リンパ節腫張もみられる。血液所見では軽度の白血球減少、血小板減少がみられる。これらの症状は1週から10日程度で消失し、患者は普通後遺症なく回復する。しかし、消化管の潰瘍などの基礎疾患を有する症例では消化管出血など出血がみられることもある。

 ■ デング出血熱
 デング熱とデング出血熱を病態生理学的に区別するものは、血管透過性の亢進による血漿漏出である。デングウイルス感染後上記デング熱とほぼ同様に発症し経過した患者の一部において、血漿漏出と出血傾向を主症状とする重篤な致死的病態を示すことがある。患者は不安、興奮状態となり発汗がみられ四肢は冷たくなる。胸水や腹水が高率にみられる。肝臓は腫張し、SGOTやSGPTは上昇する。補体は活性化されC3は減少、C3a、C5aは上昇する。血小板は減少し100,000/mm3以下となる。血液凝固時間は延長し、注射箇所からの出血がみられる。出血斑、鼻血、消化管出血等が半分以下の症例で、また最も重篤な例ではDisseminated intravascular coagulation (DIC) もみられる。しかし、症状の主体は血漿漏出であり、血漿漏出が進行すると循環血液量の不足からショックになる。ショック症状は発熱が終わり平熱にもどりかけた時に起こることが特徴的である。デング出血熱(Dengue hemorrhagic fever, DHF)は症状の重篤度によりグレ−ト1から4の4段階に分けており、DHFグレート3と4はデングショック症候群(Dengue Shock Syndrome, DSS)と呼ばれることもある。デング出血熱は適切な治療が行われないと死に到る致死的疾患である。

 ⇒ 感染症の種類

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