Subject  : 腹部大動脈瘤 (AAA)

カテゴリー: 健康・医療情報 


 腹部大動脈瘤 (AAA)
 典型的には,腹部大動脈の直径が3cm以上になった場合に腹部大動脈瘤とみなされる。原因は多因子から成るが,動脈硬化が関係している場合が多い。ほとんどの動脈瘤は症状を引き起こすことなく徐々に(およそ年10%のペース)大きくなり,大半が偶然発見される。破裂のリスクは動脈瘤の大きさに比例する。診断は超音波検査またはCTにより行う。治療は外科手術または血管内ステントグラフト内挿術による。

腹部大動脈瘤(AAA)は大動脈瘤全体の4分の3を占め,一般集団の0.5〜3.2%が罹患する。有病率は男性の方が3倍高い。AAAは典型的には腎動脈より下で始まるが,腎動脈起始部を含むこともあり,約50%は腸骨動脈に及ぶ。一般に,大動脈径が3cm以上に増大した場合をAAAとする。ほとんどのAAAは紡錘状である。多くは内側が層状血栓で覆われている。

【症状】
 ほとんどの腹部大動脈瘤は無症状である。症状および徴候は,みられたとしても特異的でない場合もあるが,通常は隣接臓器の圧迫によって発生する。AAAは拡張が進むにつれて疼痛を生じるようになるが,それは深部に穴を空けられるような持続性の内臓痛で,腰仙部で最も強く感じられる。患者が腹部に異常に強い拍動があることを自覚することもある。ほとんどの動脈瘤は症状を引き起こすことなく徐々に大きくなるが,急速に増大して破裂する寸前の動脈瘤は圧痛を伴うことがある。

動脈瘤は,その大きさと患者の体型に応じて,拍動性の腫瘤として触知可能な場合もあれば,そうでない場合もある。拍動性の触知可能な腫瘤を認める患者に3cmを超える動脈瘤が存在する確率(陽性適中率)は,約40%である。動脈瘤上で収縮期に血管雑音が聴取されることがある。

未診断のAAAを有する患者は,ときに合併症の症状や原因疾患の症状(例,感染症または血管炎による発熱,倦怠感,体重減少)で受診する。

【破裂】
 破裂は,腎動脈の2〜4cm下の左後外側壁で最も起きやすい。AAAが破裂すると,ほとんどの患者が医療施設に到着する前に死亡する。直ちに死亡しない患者では,典型的には腹痛または背部痛,低血圧,および頻拍がみられる。既往歴として最近の上腹部外傷(しばしばごく軽度)や等尺性負荷(例,重たい物を持ち上げる)がみられることがある。病院に生存状態で到着できた患者でさえ,死亡率が約50%である。

血栓やアテローム性プラークが剥離して末梢で塞栓を起こし,下肢,腎臓,腸管の動脈を遮断する場合もある。典型的には,突然生じた片側性の下肢痛を訴えて受診し,しばしば蒼白となり,脈が触れなくなる

まれに,大きなAAAによって 播種性血管内凝固症候群が引き起こされるが,これはおそらく,広範囲に及ぶ異常内皮によって急速な血栓形成と凝固因子の消費が誘発されることに起因する。
 ⇒ 大動脈瘤

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