Subject  : 胸部大動脈瘤(TAA)

カテゴリー: 健康・医療情報 


 胸部大動脈瘤(TAA)
 胸部大動脈の径が正常より50%以上大きい場合,動脈瘤とみなされる(径の正常値は部位により異なる)。ほとんどの胸部大動脈瘤は無症状であるが,胸痛または背部痛がみられる場合もあるほか,その他の症候は通常,合併症(例,解離,隣接構造の圧迫,血栓塞栓症,破裂)の結果として生じたものである。破裂のリスクは動脈瘤の大きさに比例する。診断はCT血管造影または経食道心エコー検査(TEE)により行う。治療は血管内ステントグラフト内挿術または外科手術である。

TAAの発生部位は以下の通りである:
上行大動脈(大動脈基部と腕頭[無名]動脈の間):40%
大動脈弓部(腕頭動脈,頸動脈,鎖骨下動脈を含む):10%
下行大動脈(左鎖骨下動脈より末梢):35%
上腹部ー胸腹部大動脈瘤:15%

感染性TAAは,全身または局所感染の血行性伝播(例, 敗血症, 肺炎),リンパ行性伝播(例, 結核),または直接進展(例, 骨髄炎, 心膜炎)に起因する。細菌性 心内膜炎と 第3期梅毒は,まれな原因である。TAAは一部の炎症性疾患でも発生する(例, 巨細胞性動脈炎, 高安動脈炎, 多発血管炎性肉芽腫症)。

鈍的胸部外傷で生じた大動脈壁の損傷によって仮性動脈瘤(偽性動脈瘤)が形成されることがある;この場合,大動脈の損傷により動脈内腔と周囲の結合組織との間に交通が生じて,大動脈の領域外に血液が漏出することになるが,血管壁の外側に血液で満たされた空間が形成され,それが血栓化して血液の漏出を閉鎖する。

【症状】
 多くの胸部大動脈瘤は徐々にサイズが拡大するので、初めはほとんど症状がありません。患部が胸の中にあり自覚症状は乏しく、健康診断の胸部X 線撮影(レントゲン撮影)で初めて異常な影が見つかり診断されることも少なくありません。CTスキャン(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像法)、心臓カテーテル検査等により発見されることもあります。瘤が大きくなると周囲を圧迫してさまざまな症状を引き起こすことがあります。声帯を支配する神経(反回神経)を圧迫すると、声帯の働きが悪くなることで、しゃがれ声(嗄声)が出ます。気管を圧迫すると呼吸が困難になり、食道を圧迫すると食べ物を飲み込むことが難しくなります。自覚がある場合の、よく見られる症状を以下にまとめます。
あご、首、胸、背中の痛み
咳、声のかすれ、呼吸困難

 ⇒ 大動脈瘤

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