Subject   : 貪食細胞(phagocytosis)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 貪食細胞(phagocytosis)
  菌体表面に C3b が結合するが、貧食機能を持つ好中球の表面には C3b レセプターがあり、これを介しあたかもジッパーを閉じるかのように菌は細胞に取り込まれ phagosome に入る。

 同様な事が、抗体が菌体についた場合にも起こる。貧食機能を持つ好中球表面には抗体レセプター(Fcreceptor)がある。抗原認識するFab部分で菌体に付くとFc部分が菌から外側へ突き出た格好になる(opsonization)。これが細胞の Fcレセプターと結合するので、やはりジッパーを閉じる機構で細胞に取り込まれる 事となる。phagosomeは lysosome と融合し、lysosome の中のlysozyme、elastase、protease 等で消化されたり、myeloperoxidaseにより 酸素依存性に殺される。病原性結核菌やサルモネラ菌は、phagosome と lysosome との融合を抑える因子を出し、細胞内で増え続ける。  C5 切断産物の片割れである C5a は感染局所の周りに拡散し、好中球を引き寄せる。

 貪食細胞がこのような機能を発揮するにはIL-1やNTF-αによる活性化が必要である。つまり、細菌等が感染するとこれらのサイトカインが誘導されなければならない。次第にこの機構が明らかになりつつある。即ち、Toll-likereceptorの発見である。

 Tollはショウジョウバエの発生において背腹のパタン(dorsoventralpatterning)を決める遺伝子として発見された。処が、ハエが生育を遂げてからのこの遺伝子の機能を調べてみると、つまり成虫になってからこの遺伝子発現を止めてやると、カビに感染し皆死んでしまった。これは、抗カビペプチドdrosomycin産生が誘導されない為であった。

 一方、C3H/HeJマウスはグラム陰性菌の外膜にあるLPSに反応しない事が分かっていたが、その原因遺伝子がショウジョウバエのToll遺伝子と高いホモロジーを持つことが分かった。LPS刺激はマウスでIL-1やTNFを活性化し感染防御に関わっているので、ハエでもマウスでもTollに似た遺伝子が感染防御に関わっていることになる。Tollとホモロジーを持つ遺伝子がその後沢山とれて、 Toll-likereceptor、TLR、と呼ばれる。TRLには特異性があり、例えば、C3H/HeJで変異していたのはTLR4でLPSに特異性があり、TLR2とTLR6は細菌のペプチドグリカンを認識し、TLR5は鞭毛を、TLR9は細菌のDNAを認識する。IL-1やTNFの活性化はNFκBの活性化を介した転写誘導による。

<出典:HealthWordsWiki>

● 
 

 ⇒ 抗原と抗体

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧]  [HOMEへ戻る]  [用語索引]  [前のページに戻る]