Subject   : ナイーブ型T細胞(naive phenotype: NP)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 ナイーブ型T細胞(naive phenotype: NP)
 ヘルパーT細胞、キラーT細胞はそれぞれ、分化段階や機能性によりいくつかの分画に分かれる。反応する抗原(病原体など)にまだ遭遇していないT細胞集団はナイーブ(型)(naive phenotype: NP)と呼ばれ、体内をパトロールしている。

ナイーブ(型)T細胞が抗原刺激を受けると活性化して増殖し、侵入してきた病原体と戦う多くのエフェクターT細胞や二度目の感染に対して強く速い応答を起こす記憶T細胞などへと分化する。これら抗原刺激後のT細胞は記憶(型)T細胞と総称され、Central memory(CM)、Effector memory(EM)、Terminally differentiated effector memory T cells re-expressing CD45RA(TEMRA)などに分類される。たとえば、CMは抗原刺激後の高い増殖能を維持しており、多くのエフェクターT細胞をつくることができる。TEMRAは最終分化したT細胞で、エフェクター機能は高いが増殖能は失いつつあり、感染後すぐに機能できる可能性が高いが、やがて死んでしまうと考えられる。

キラーT細胞においては、ナイーブ型T細胞が若齢者に比べて高齢者で有意に少なく、増殖能を失い最終分化した細胞(TEMRA)や組織傷害をおこす可能性のある老化したT細胞の数が多いことが分かりました。また、新型コロナウイルス反応性T細胞の数や機能は、大きな個人差があることも明らかになりました。さらに、サイトメガロウイルスに感染した若齢者では、非感染者と比べて老化したキラーT細胞の数が多くなっていました。これらの結果から、予め体内に存在する新型コロナウイルスに反応性を持つナイーブ型のキラーT細胞が加齢に伴い少なくなり、老化したキラーT細胞が増えてしまうことが、高齢の患者で重症化しやすい理由の一つである可能性が考えられました。また、サイトメガロウイルスへの感染の有無が、新型コロナウイルスに対する免疫応答に影響する可能性が示唆されました。今回の結果は、新型コロナウイルス感染後の症状の大きな年齢差と個人差を説明できる可能性があり、高齢者への治療法やワクチン戦略の参考になると期待できます。

<出典:京都大学>

● 
 


 ⇒ 抗原と抗体

[メニューへ戻る]  [カテゴリー一覧]  [HOMEへ戻る]  [用語索引]