Subject   : 細胞外マトリックス

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 細胞外マトリックス
多細胞生物は、細胞→組織→器官→個体と段階的に構成されている。色の違う2種のカイメンをバラバラにし、それらの細胞を混ぜ合わせると、それぞれの色の細胞が集合し,元の個体になる。多細胞生物においては、細胞同士が付着したり、細胞外の物質に付着して存在するためである。
 このような細胞間の接着(細胞接着cell adhesion)には、細胞外マトリックス(extracellular matrix)や膜に存在する細胞接着分子(adhesion molecules),および細胞接着分子の細胞内の連結物としての細胞骨格(cytoskelton)が重要な役割を果 たしている。
細胞接着としては
細胞同士の接着: 細胞接着分子間の相互作用
細胞とマトリックスの直接接触による接着: 細胞接着分子と細胞外マトリックス間の相互作用
がある。
結合組織などは、 周辺の細胞外マトリックスに接着しています。 細胞と基質の仲立ちをするタンパク質(細胞外マトリックス)が存在。

 ● コラーゲン (collagen, COL) 群
体のタンパク質の約25〜30%を占める。軟骨,皮膚,腱,骨,軟骨,基底膜,足場となる繊維(アンカリングフィブリル)などを構成。

種類 分子種 メモ
フィブリル形成型 I,II,III,V,XI 7 nm周期の縞模様をもつフィブリルを形成。
ファシット型 IX, XII, XIV, XVI, XIX 三重ラセンが中断された線維会合型
短鎖型 VIII, X シートを形成
マルチプレキシン XV, XVIII 三重ラセンが何度も中断された構造
マシット型 XIII, XVI 細胞表面分子型。細胞接着分子
その他の型 VI じゅず状フィラメント(ミクロフィブリル)を形成。
VII 足場となる繊維(アンカリングフィブリル)を形成

全て,3本鎖へリックスからなるドメイン(コラーゲンドメイン)をもつ。細胞表面分子型もある。細胞の接着,増殖,分化,移動,極性に関与する。コラーゲンのアミノ酸配列は
 -Gly-X-Y-  (Xはプロリン残基,Yは4-ヒドロキシプロリン残基が多い)
の三連配列が延々と繰り返した構造をしている。量は少ないが,3-ヒドロキシプロリンや5-ヒドロキシリシンも含まれる。

 ● 非コラーゲン性糖タンパク質群
フィブロネクチンビトロネクチン(血清中。培養細胞の接着因子), ラミニン,ニドジェン,テネイシン, トロンボスポンジン,フォンビルブランド(von Willebrand)因子(血漿中), オステオポンチン(破骨細胞),フィブリノーゲンなど。

 ● エラスチン群
エラスチンとは、コラーゲンと同様に細胞外で働く繊維状の蛋白質で、 ゴムのように伸び縮みする性質(弾性)があり、組織に柔軟性を与える物質です。


 ● プロテオグリカン群

 ⇒ 細胞の接着
 ⇒ マトリックス分解酵素(MMP)

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